食品冷凍技術推進機構:FFTech主催の「第36回食品冷凍技術懇談会」は、4年目にして初のリアル会合として11月27日午後、東京海洋大学内の「楽水会館」で開催、約100人が出席する盛会でした。写真は、「鮨心の冷凍寿司開発秘話」と題して特別講演を頂いた、麻布鮨心店主の中村導昌氏の講演風景です。

当日の大テーマは「水産物の凍結」でした。

FFTech鈴木徹代表理事が、開会挨拶と共に、本年3月に設立した当機構の概要、目的を紹介しました。
「食品冷凍、冷凍食品に関係した団体は、冷凍空調学会、冷凍食品協会が活動していますが、新機構は食品冷凍技術に特化して、創り出す、クリエイティブな事業を推進しようと立ち上げました。今回取り上げた水産物の品質保持、冷凍寿司のテーマもまさにクリエイティブなもののひとつ」

来賓を代表しての挨拶は、東京農業大学の高野克己名誉教授(FFTech顧問)が立ちました。

「毎月36回目を迎える勉強会を開催されてきたのは、鈴木先生の行動力、学術的探究心に依るところ。冷凍食品は今や食生活に欠かせないものになり、日常のものから高級なものまで、たくさんのものがありますが、それを可能にしているのが冷凍技術です。水産物から始まりいろいろな分野で冷凍食品の技術が発展したことで我々の食生活がより向上してきました。今のご挨拶で、食品の冷凍科学技術について積極的に発信していくという思いが伝わってきました。ますます同会が発展することを祈念いたします」


続いて「水産物の高品質保持技術」をテーマに東京海洋大学の岡﨑恵美子客員教授が講演しました。岡﨑教授はマグロをはじめ各種事例、実験結果を示しながら、「マイナス40℃以下保管」が水産物の劣化を防ぐ必要条件と提言し、「冷凍水産物の美味しさを保持するためには、原料である魚介類の鮮度が重要。そして適切な冷凍貯蔵条件など各種の要因に配慮する必要があります」とまとめました。


鈴木代表理事は「米飯および冷凍寿司の最適な冷解凍」をテーマに、10数年前から握り寿司の冷解凍実験を進めてきた経緯を紹介しました。「当初は冷凍寿司が高出力のレンジ解凍により、ネタが冷たくシャリが人肌で仕上がるメカニズムが分からなかったが、解明できた。この研究からレンジ調理の加熱むら、冷凍米飯やグラタン内のエビ、たこ焼の中のタコなどの冷たさも理解できます」としました。


鮨心の中村氏は、「小さな頃から『なんで?』とよく質問する子どもでした。職人修行時代から、なんでお寿司は賞味期限が短いのかと考え、冷凍寿司に興味を持っていました。コロナ禍があって時代がきたと感じ、冷凍のお寿司を流通させることは、寿司への恩返し、世の中を明るくして地方の産地も元気になると考えました」と自分の店で冷凍寿司を作るようになった動機など語り、「利益にはならない、信念のみで3年やってきましたが、鈴木先生がご紹介された短時間の解凍方法をうかがい、確信に変わりました。私1人ではECサイトでの販売のみ。ぜひ皆さまのご協力を頂きたい」と話しました。
会場からの質問も相次ぎ、有意義なディスカッションも行いながら、実際に中村氏が作った冷凍寿司のレンジ解凍試食も行いました。

 




懇談会終了後は情報交換交流会を開き、約2時間、飲食も交えて交流が広がる充実した会合となりました。

乾杯発声挨拶は、鮨心中村氏と鈴木代表理事の今夏の面談を仲立ちしたキンレイ白潟昌彦社長が行いました。

初のリアル開催に約100人出席 「第36回食品冷凍技術懇談会」 水産物の冷凍、冷凍寿司を学ぶ